歯学生診療参加型臨床実習後客観的臨床能力試験(Post-Clinical Clerkship Performance Examination(Post-CC PX))は,歯学生が診療参加型臨床実習を通じて身につけた臨床能力を測り,歯科医師としての資質を備えていることを確認するために行います。(1)試験の概要歯科治療には各種機器や材料を使用すること,侵襲の程度が比較的大きい処置が含まれること等の特徴があるため,各大学が工夫して実施している診療参加型臨床実習の形態は様々です。また,それぞれの疾患に対して高度に専門・分科している医科同様,歯科にもいくつかの専門領域があり,臨床実習中の歯学生はそれぞれの領域を専門とする教員の指導を受けながら実地に歯科医療を学んでいます。しかし,どのような処置内容であっても歯科治療を行う際に必要とされる要件は本質的に変わりません。すなわち,常に患者への配慮を念頭におき,その処置の必要性を理解した上で正しく器材を扱いながら治療を実践することや自分に足りない点を確実に認識し,治療中の状況を適切に患者や指導教員に説明・報告することなどがあげられます。さらに,歯科では鋭利な器具を使用し,診療中に体液や血液に触れることが少なくないため,医療安全や感染対策に対する理解と配慮も必要不可欠といえます。歯学生診療参加型臨床実習後客観的臨床能力試験(Post-CC PX)は「歯学教育モデル・コア・カリキュラム(平成 28 年度改訂版)」において,「G 臨床実習」の別表「臨床実習の内容と分類」に提示された「3. 基本的臨床技能」のうち「Ⅰ.指導者のもと実践する」「Ⅱ.指導者のもとでの実践が望まれる」に含まれるものを中心に,この試験の目的を果たすと考えられるすべての処置から課題を抽出して行われ,臨床実地試験と一斉技能試験によって構成されます。受験料については,会費規程で受験生一人当たり 30,000 円と定められています。科医師に求められる基本的な資質を備えていることを確認します。下記の6つの項目(それぞれに3つの小項目を設定)に関する全国共通のチェックリスト・評価基準を用いて「十分」「許容範囲」「不十分」の三段階で評価し,臨床実習期間内に「不十分」が一つもなくなることを合格条件とします。臨床実地試験の実施時期は臨床実習期間の 1/4 経過以降とし,学生の自己申告によって個別に試験を実施します。 ①治療に際して患者に配慮する②当日の治療に必要な器材を確実に準備する③必要時に指導教員に報告する④処置中に器材を正しく取り扱う92Ⅲ-2 臨床実習の評価としての共用試験 1)臨床実地試験(CPX : Clinical Practice Examination)Workplace Based Assessment(WBA)の一種に相当します。担当医の一人として診療に参加する学生のパフォーマンスを評価することによって,診療参加型臨床実習を通じて歯
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