共用試験ガイドブック 第22版(令和6年)
5/125

33“共用試験ガイドブック”をお届けします。 本誌は,共用試験とはどのような試験かを知っていただくための冊子です。 医学部・歯学部の教育において到達しておくべき学修目標は「医学教育モデル・コア・カリキュラム」及び「歯学教育モデル・コア・カリキュラム」として提示されています。現行の共用試験は,これらの学修目標にほぼ準拠した,医学生や歯学生の学修到達度を測定する試験です。臨床実習前には,1)コンピュータを用いた知識の修得度を評価する客観試験(Computer Based Testing;CBT)と,2) 基本的臨床技能と態度を評価する客観的臨床能力試験(Objective Structured Clinical Examination;OSCE)の二つがあります。これにより医・歯学生の知識と技能と態度が,診療参加型臨床実習を開始できる臨床能力に到達していることを確認します。 これまで,これらの試験は,医学部・医科大学と歯学部・歯科大学の教職員の自主的かつ献身的な努力によって,自律的に行われてきました。これらの医学系・歯学系における教育改革は,社会的にも支持され,令和3年5月の国会で医師法及び歯科医師法の一部が改正され,医学系では,令和5年度から,歯学系では令和6年度から,この二つの試験が,それぞれ「医学生共用試験」,「歯学生共用試験」という名称の「公的」試験となったことは周知のとおりです。そして,この共用試験の実施機関として,国は公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構(以下,「機構」という。)を指定しました。学生は,この臨床実習前のCBTとOSCEに合格しないと診療参加型臨床実習を開始できませんし,その後の医師・歯科医師国家試験も受験できません。 この医師・歯科医師養成に関する画期的な制度改革によって,わが国の医学生・歯学生の能力がより一層向上することが期待されています。 次に,診療参加型臨床実習により修得された能力を測定するために,医学系では臨床実習後客観的臨床能力試験(Post Clinical Clerkship Objective Structured Clinical Examination;Post-CC OSCE)を,歯学系では臨床実地試験(Clinical Practice Examination;CPX)と一斉技能試験(Clinical Skill Examination:CSX)を,それぞれ実施し,全国の医・歯学生が,大学卒業を許容できるレベルに達していることを確認します。 本誌には,試験の例題,成績,評価などに関する情報が掲載されていますので,医学部・歯学部の教職員や学生のみならず,臨床研修病院,地域医療機関,医師会・歯科医師会などの医療関係者,各関係行政機関をはじめ,わが国の医師養成にかかわるすべての皆様に活用していただけることを願っています。 試験実施機関として国の指定を受けている機構は,安全・安心な医療を提供できる医師・歯科医師を養成するために,わが国のすべての医学部・医科大学と歯学部・歯科大学が協力しあって活動している唯一の団体であることも知っていただきたいと思います。 共用試験の意義をご理解いただき,その円滑な運用に対するご協力と改善に向けてのご指導をお願い申し上げます。 公益社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構 は じ め に 令和6年6月 理事長 栗原 敏

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る