104(3)臨床実習前および後OSCEの評価者と模擬患者養成OSCEの評価者は,大学教員のみならず,学外の教育関連施設の臨床実習指導医及び臨床研修病院の臨床研修指導医が,当機構が実施する講習を受けて,試験に合格すれば,OSCEの認定評価者として医学生の臨床能力や,大学の医師養成教育を評価します。これにより,卒前臨床実習から卒後臨床研修への一貫した臨床医学教育が進むと考えられます。 模擬患者は,医師養成のための人的資源であるとの文化が醸成し,地域の人々が模擬患者になっていただくことが定着してきました。模擬患者には医学生の学修のための患者役を演じる場合と,試験における患者役を演じる場合とがあります。OSCEでの患者役は,受験者により演技に差があっては試験の公平性が失われますから,あらかじめ機構の認定を受けた標準模擬患者の資格を有する人でなければなりません。認定標準模擬患者講習会も順調に進みつつあります。将来的には,認定標準模擬患者による受験者評価も実施される可能性があります。 (4)OSCEセンター構想機構では,将来構想として,全国に何か所かOSCEセンターを設け,単に医学生の試験施設にとどまらず,評価者や模擬患者の養成や手配等に携わる機能をも持った施設とすることを含めて検討を開始しています。 2.歯学生共用試験 (1)臨床実習前のCBTとOSCE臨床実習前共用試験を公的試験とする法律が,2021年5月に国会を通過したことにより,令和6年4月から,歯学生はこれに合格すれば診療参加型臨床実習において歯科医行為を実施することができるとともに,歯科医師国家試験の受験資格が得られることになりました。これにより試験の合否は全国共通の統一基準で判定されることになり,臨床実習前のCBTとOSCEは公的試験として実施されることになりました。なお,追再試験については医学生共用試験と同様です。 (2)診療参加型臨床実習後客観的臨床能力試験歯学系では,臨床実習の評価として,臨床実地試験と一斉技能試験の二つが実施されています。臨床実地試験はworkplace-based assessmentであり,実際の臨床実習現場において歯学生を評価するため,理想的な臨床能力評価法です。 しかし,現在は実施大学の教員のみが自大学の学生を評価していること,機構派 遣監督者のもとで一部学生に限定して臨床実地試験が実施されていること等が懸案事項であり,評価の客観性を担保するためには他大学教員が評価者として実施大学に赴いて評価するなど,教員の負担増等に配慮しつつ,実現可能な方法を検討す104
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