1031.医学生共用試験 (1)臨床実習前のCBTとOSCE臨床実習前のCBTとOSCEは,医学生が実際の診療現場で医行為を行う実習を開始する前に,それを許容できる能力を備えているかを測定し,合否を全国統一基準で判定しようとするものです。 この目的のために,厚生労働省医道審議会医師分科会医学生共用試験部会,文部科学省高等教育局医学教育課,試験の実施機関として国から指定を受けた当機構の3者で公的試験としての実施手順が話し合われ,令和5年度から実施されました。 CBTについては,ほぼ公的化以前どおりで,合格基準はBookmark法により定められた全国統一到達基準が適用されています。 OSCEについては,国際的には最低12課題実施とされていますが,わが国の実情に鑑み,公的試験としては8課題で実施されています。令和7年度には10課題以上を実施しなければ,諸外国に後れを取ることになると推察されます。OSCEの合格基準は修正Angoff法により定められた全国統一到達基準が適用されています。OSCEの評価者及び標準模擬患者養成は継続的に実施していきます。 臨床実習前共用試験(CBT・OSCE)の追試験及び再試験は,国家試験とは異なり,在学生が受験する試験であることから,学校感染症等で受験できなかった場合は追試験が,また,到達基準に達しなかった場合は1回のみ再試験の受験機会が与えられます。なお,追試験の再試験及び再試験の追試験はありません。 さらに,何らかの理由で,受験に際して支援を必要とする場合は,事前に協議して支援策を講じています。また,受験者が自分の試験結果について異議を唱えた場合は,CBTの場合は点数の見直し,OSCEの場合は動画での確認を行う体制が構築されています。 (2)臨床実習後のOSCE臨床実習後OSCEは,医学部を卒業させてよいか,臨床研修を開始できるだけの能力を修得できているかを確認する試験です。 現在すでに行われている臨床実習後OSCEは,未だ公的試験ではありません。公的化された臨床実習前OSCEの状況を見て,令和7年度から臨床実習後OSCEを公的化することが検討されることになります。 医師国家試験にOSCEを導入することについては長らく検討されていましたが,臨床実習後OSCEが順調に実施されれば,次のステップとして,これを国家試験に導入することの議論が進むでしょう。 Ⅴ. 共用試験の現状と今後103
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