臨床実習開始前の「共用試験」16版(平成30年)
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─ 63 ─□ 患者さんにごく近接した環境表面には不用意に触らない。□ 手指が眼に見えて汚かったり、タンパク性物質で汚染されていたり、眼に見 えて血液や体液で汚れている場合は、石鹸と流水で手を洗う。□ 眼に見えた汚れが手指にない場合、あるいは眼に見えた汚れを石鹸と流水で 洗い落とした後は、以下の場面において、手指を除菌する。用いるのに望ま しいのはアルコールをベースとした手指消毒薬である。(例)患者さんと直接的な接触をする前。(例)血液、体液、分泌物、浸出物、粘膜、非正常な皮膚あるいは傷を被覆したものに接触したあと。(例)患者さんの正常皮膚に触れたあと。(脈拍測定、血圧測定、あるいは患者を持ち上げる、など)(例)患者ケアの間に、身体の汚染した部分から身体のきれいな部分に手を移動させるとき。(例)患者さんのすぐそばにあるリネン・物品(医療器具などを含む)に触れたあと。(例)手袋を外したあと。□ クロストリディウム・ディフィシル(Clostridium Difficile)や炭疽菌に接 した可能性がある場合は、非抗菌性石鹸と流水、あるいは抗菌性石鹸と流水 で手を洗う。□ 装飾用マニキュア(ネイルアートあるいはネイル)やつけ爪は、ICUや手術室 などの感染に対してハイリスクの部署ではつけてはならない。それ以外の部 署では、それぞれの組織の方針に従う。手指消毒・衛生的手洗いの具体的な方法は、「Ⅸ.基本的臨床手技 【一般手技】(3)手指消毒・衛生的手洗い」を参照。人((手袋・ガウン・マスクなどのPPEの使用に当たっては、以下の原則を遵守する。□ これから行う医療行為で、血液や体液との接触の可能性がある場合は、PPEを 使用する。□ PPEを外す過程で衣服や皮膚に汚染をおこしてはいけない。□ 患者さんの病室から退出するときには、PPEを外し廃棄する。□ これから行う医療行為で、血液やその他の感染性物質、粘膜、正常でない皮 膚、正常でも汚染されている可能性のある皮膚(例えば便失禁や尿失禁のあ る患者の皮膚)との接触が予測できる場合は手袋を使用する。□ 患者さんあるいは患者さん周囲の環境(医療機器も含む)に接触したあとは、 適切な方法で手指を汚さないように手袋をはずす。なお、一人以上(複数) の患者さんに同じ手袋を用いてはならない。また、手袋を再利用してはなら ない。□ 汚染された身体の部分(例えば会陰部)から身体のきれいな部分(例えば顔 面)に手指が移動するならば、患者ケアの途中でも手袋はかえる。□ これから行う医療行為で、血液・体液・分泌物・浸出物・排泄物との接触が 考えられるときには、皮膚や衣服が汚れることを防ぐために、その業務に適63
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