臨床実習開始前の「共用試験」第13版(平成27年)
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-14-④共用試験における成績評価:IRT標準スコアを用いています。これは機構独自の名称で,2012年度から名称を変更しました。このスコアは,「能力値(θ)×10+50」の算式で求めてきましたが,第11回(2016年度)共用試験からは,「能力値(θ)×100+500」の算式に変更し,整数表記となります。偏差値と同様に基準集団での相対的な位置を示すもので,その年度の受験集団内の位置ではありません。このスコアを標準偏差単位に6段階に分類したのがIRT標準スコア6段階評価です。段階1は,IRT標準スコアが30未満,段階2は30以上40未満,段階3は40以上50未満,段階4は50以上60未満,段階5は60以上70未満,段階6は70以上でしたが,第11回(2016年度)共用試験からは,段階1は,IRT標準スコアが300未満,段階2は300以上400未満,段階3は400以上500未満,段階4は500以上600未満,段階5は600以上700未満,段階6は700以上となります。いずれも個人成績表に掲載されています。⑤項目特性曲線,項目特性値:項目反応理論における重要な要素の項目特性曲線は,項目の特性を曲線で表すものです(下図)。横軸は,前述した能力値(θ)です。縦軸は,各能力値(θ)の当該項目に正答する確率となります。この曲線は,始めは緩やかに増加し,徐々に傾きが大きくなり,ある点から後は,逆に増加率が鈍化し,やがて正答する確率が1に近づきます。その曲線の変わり目(変曲点)の位置を決めるのがb(項目困難度)であり,そこで増加率は最大となります。また,そこでの傾きを示すのがa(項目識別力)となります。この曲線の位置と傾きにより,当該項目の特性が視覚的に分かります。⑥項目困難度:項目特性曲線から求められる項目特性値は,いくつかの種類がありますが,この特性値は項目特性曲線の位置を表します。共用試験が利用している項目特性曲線では,正答する確率が0.5の時の項目特性曲線と交わる位置の能力値(θ)で表します。一般的にはbと表記しています。bが大きいということは,能力値(θ)が高くないと正答できないということであり,項目の難しさを表現しています。⑦項目識別力:この項目特性値は,項目特性曲線の能力値(θ)が=bにおける傾きに比例し,一般的にはaと表記しています。aが大きいということは,bを挟む能力値(θ)の前後で正誤が比較的はっきり見分けやすくなります。項目反応理論と項目特性曲線(高橋正視著「項目反応理論入門」2002から引用)00.10.20.30.40.50.60.70.80.91‐3‐2‐10123正答確率能力値(θ)0.500.150.030.850.97a:項目識別力b:項目困難度

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