臨床実習開始前の「共用試験」第12版(平成26年)
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Ⅲ-2 医学系OSCEⅥ.胸部診察(1)診察時の配慮「Ⅰ.医療面接および身体診察、手技に関する共通の学習・評価項目」を参照(2)医療安全□ 高齢者や動作に障害がある患者さんでは、体位変換時の転倒予防に注意する。□ 激しく咳をしている患者さんを診察する場合は、互いにマスクを着用し感染  防御に注意する。□ 痛みのある領域の打診や叩打診は苦痛を与えないように実施する。□ ハンマーや握り拳を用いた脊椎の叩打診では、あらかじめ叩くことを知らせ  る。□ 頸動脈の診察では、聴診であらかじめ血管雑音のないことを確認した上で触  診を行う。(3)聴診器の使用□ 聴診器のイヤピースを外耳道の方向にあわせて装着し、チェストピースを適  切に把持する。目的に応じて、膜型、ベル型を使い分ける。(ベル型は低音  域、Ⅲ音、Ⅳ音の聴診に使う)(4)肺の診察(前胸部)1)視診□ 頸部を含む胸部全体を診察できるように準備する。患者さんの羞恥心に配慮  してバスタオルや診察用ガウンを適宜使用する。□ 解剖学的部位(胸骨角・剣状突起)を特定する。□ 皮膚所見(皮疹、着色班、手術瘢痕など)を確認する。□ 胸郭の形状、輪郭(変形、左右差など)を確認する。□ 呼吸数を測定する。(30秒数えて2倍する)□ 呼吸の異常(型・リズム・速さ・深さ)を確認する。□ 呼吸時の胸壁運動の左右差を確認する。□ 鎖骨上窩・肋間の吸気時の陥凹の有無を確認する。2)打診□ 左(右)手を広げ、その中指の中節骨部またはDIP関節部を、曲げた右(左)  中指で手首のスナップを効かせて弾むように原則として2回ずつ叩き、打診す  る。□ 肺尖・側胸部・胸郭下端を含む胸部全体(8ヵ所以上)を打診する。□ 左右交互に上から下へ打診して、左右差を確認する。3)聴診□ 深呼吸をしてもらう。85

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